免疫機能と微量元素
細胞性免疫と亜鉛 ー供給領域(量)から見た亜鉛と症状発現ー
細胞性免疫と亜鉛
著者らは、微量元素起因の疾病発症は、体内元素バランスの攪乱すなわち量(欠乏、過剰、感受性)、蓄積、相互作用に依存することを見出している。亜鉛と細胞性免疫との関わりにおいても然りである。亜鉛と症状発現の間には、亜鉛供給の領域と亜鉛受容の領域とがあるが、本稿では、亜鉛供給の領域、すなわち量に依存した領域を中心に細胞死を例に取り上げて解説する。
免疫細胞における亜鉛の作用は、細胞内亜鉛濃度によって規定される。生理的許容濃度では種々の酵素の活性化や抑制化など調整剤や制御剤、阻害剤として働くが、欠乏あるいは過剰濃度ではストレス誘因の各種ホルモン異常から特定元素の過剰流入を含め、微量元素のホメオスタシスを攪乱し、特定元素の蓄積を誘発する。そして、この特定元素の過剰蓄積がセカンダリーに種々の細胞障害や細胞死を誘発し、症状を発現させている。
生理的条件下では、亜鉛はT細胞の増殖に関与する酵素の活性中心にあり、T細胞膜表面の抗原形成に関与する胸腺ホルモンの活性中心にあり、分化成熟過程の重要な機構(ネガティブセレクション)である細胞死(アポトーシス)機構の生理的調節に関与している。
ところが、亜鉛が欠乏あるいは過剰になると体内元素バランスの攪乱により生理的調節が不能となり、組織病理の異常や免疫機能の異常が誘発される。例えば、細胞死の領域では、亜鉛による細胞死は細胞内Zn2+ 濃度によってその経路が規定され、細胞死の形態が異なる。すなわち、生理的許容濃度(10−8〜10−5M)ではカスパーゼの活性化を抑制し、アポトーシスを制御しているが、欠乏(<10−8M)あるいは過剰濃度(10−4M<)ではその程度や組織にもよるが、カルシウムや銅、鉄などの遷移元素が異常蓄積し、ネクローシスやカスパーゼ依存性あるいは非依存性のアポトーシスを誘導する。
著者らは、微量元素起因の疾病発症は、体内元素バランスの攪乱すなわち量(欠乏、過剰、感受性)、蓄積、相互作用に依存することを見出している。亜鉛と細胞性免疫との関わりにおいても然りである。亜鉛と症状発現の間には、亜鉛供給の領域と亜鉛受容の領域とがあるが、本稿では、亜鉛供給の領域、すなわち量に依存した領域を中心に細胞死を例に取り上げて解説する。
免疫細胞における亜鉛の作用は、細胞内亜鉛濃度によって規定される。生理的許容濃度では種々の酵素の活性化や抑制化など調整剤や制御剤、阻害剤として働くが、欠乏あるいは過剰濃度ではストレス誘因の各種ホルモン異常から特定元素の過剰流入を含め、微量元素のホメオスタシスを攪乱し、特定元素の蓄積を誘発する。そして、この特定元素の過剰蓄積がセカンダリーに種々の細胞障害や細胞死を誘発し、症状を発現させている。
生理的条件下では、亜鉛はT細胞の増殖に関与する酵素の活性中心にあり、T細胞膜表面の抗原形成に関与する胸腺ホルモンの活性中心にあり、分化成熟過程の重要な機構(ネガティブセレクション)である細胞死(アポトーシス)機構の生理的調節に関与している。
ところが、亜鉛が欠乏あるいは過剰になると体内元素バランスの攪乱により生理的調節が不能となり、組織病理の異常や免疫機能の異常が誘発される。例えば、細胞死の領域では、亜鉛による細胞死は細胞内Zn2+ 濃度によってその経路が規定され、細胞死の形態が異なる。すなわち、生理的許容濃度(10−8〜10−5M)ではカスパーゼの活性化を抑制し、アポトーシスを制御しているが、欠乏(<10−8M)あるいは過剰濃度(10−4M<)ではその程度や組織にもよるが、カルシウムや銅、鉄などの遷移元素が異常蓄積し、ネクローシスやカスパーゼ依存性あるいは非依存性のアポトーシスを誘導する。