保健機能食品と微量元素|「生命と微量元素」講座<荒川泰昭>

「生命と微量元素」講座

保健機能食品としての微量元素

■ サプリメントと健康

微量元素の生体内攪乱にみる保健機能食品の有効性と安全性

微量元素のサプリメントの利用に当たっては、量、蓄積性、相互作用に注意しましょう

保健機能食品

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 保健機能食品には栄養機能食品特定保健用食品とに分けられるが、ミネラル、微量元素は栄養機能食品の範疇に入る。しかも、現実的にはサプリメントの形で供給されることが多い。この栄養機能食品は規格基準型であり、一日当たりの摂取目安量に含まれる機能表示成分量が規定された上限値と下限値を満たすものでなければならない。表示内容としては、栄養成分の含有表示および機能表示が可能である。現在、Zn、Cu、Fe、Ca、Mgの5種が栄養機能食品として認められている。
 1)亜鉛製剤やサプリメントによる褥瘡の治療、2)鉄不応性・銅欠乏性貧血(好中球減少)の銅添加流動食の効果、3)難治性湿疹、創傷、亜鉛欠乏などにおける亜鉛(および鉄)サプリメントの効果など、治療効果が報告される一方、4)第6次改定所要量に準じた銅・亜鉛添加濃厚流動食使用下で見られるCuの過剰摂取、Znの吸収抑制など、微量元素間の相互作用(拮抗、増強、減弱)や5)微量元素と薬物との相互作用、6)食物成分と薬物との相互作用など、考慮すべき問題点も浮上している。
 すなわち、摂取時に微量元素間の相互作用(とくに拮抗作用)に配慮を要するものとしては、カルシウムとマグネシウム、セレン、亜鉛、鉄、亜鉛と銅、鉄、カルシウム、セレンと亜鉛、鉄とマグネシウムなどの組合せの場合である。とくに、カルシウムとマグネシウム、亜鉛と銅の場合は拮抗作用に配慮が必要である。
 微量元素と薬物との相互作用については、亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなどと数多くの薬剤との組合せが存在し、両者の吸収阻害、薬効減弱、不溶性あるいは難溶性の塩形成、キレート形成、排泄促進などの相互作用を引き起こす。食物成分と薬物との相互作用についても同様に、食品中のミネラル成分と薬剤の錯体形成による吸収阻害や薬効減弱がみられる。

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