神楽における入鬼神の存在
各神楽座における入鬼神(いれきじん)の比較
■ 演舞中に土地神が鬼神として出現(降臨)(入鬼神)
高千穂神楽と同様に、日之影神楽や五ヶ瀬神楽では、演目の流れの中にそれぞれの土地で信仰される「土地神(地主神)」が「鬼(貴)神」として出現(降臨)する。日之影神楽における「大人神楽」の「天神様の舞」のように単独の演目として出現する場合は別として、この単独の演目としてではない出現の仕方を「入鬼神」という。その出現の仕方や出番は、それぞれの神楽座により異なるが、以下の写真で見るように、日之影神楽における「深角神楽」では「幣神添」の演舞中に「入鬼神」として、同様に「一の水神楽」や「松の内神楽」では「御幣」の中で「入鬼神」として、「大菅神楽」では「幣神添」や「杉登り」の中で、「平清水神楽」では「大神」の中で、「鹿川神楽」では「幣神添」の中で、「四ケ惣神楽」では「鬼神」として、また五ヶ瀬神楽(仏教色が濃く、高千穂系神楽の祖形を残す神楽)の「桑野内神楽」では「杉登り」の中で「入鬼神」として出現する。
ちなみに、高千穂神楽の「秋元神楽」では「杉登り」の中で「入鬼神」として土地神「秋元太子大明神」を降臨させ、「諸塚・南川神楽」や「戸下神楽」では神楽の最終演目「注連口」に、「稲荷神」が、「二上神楽」では「二上様」が、同じく「野方野神楽」では「牛神様」などの土地神が降臨し舞い収めている。また、椎葉神楽の「嶽之枝尾神楽」では、「注連引鬼神」の中に「内鬼神」として出現する。
御神屋を誉めて神々の降臨を請う「御神屋誉め」に始まり、先導神・猿田彦による「彦舞」、結界画定と献餞の儀礼「太殿」、神々を招き降ろす「神降ろし」、地主神を敬って舞う「鎮守」と続く神事神楽の後に、「御幣」、「幣神添」、「大神」、「杉登り」といった格式の高い神楽の中で「入鬼神」として「土地神」が降臨する。
このように、地主神が神楽の最初に降臨し、「荒神」、「山の神(山森)」、「八鉢(道化神)」などが続いた後、最後に土地神が舞い収めるという神楽の様式は、日之影神楽や五ヶ瀬神楽を含めて、高千穂神楽や諸塚神楽など高千穂神楽全域の「高千穂神楽群」に共通する儀礼であり、このことから、これらの神楽は土地神の祭祀の上に国家祭祀としての記紀神話が重ねられたものであるということがわかる
ちなみに、高千穂神楽の「秋元神楽」では「杉登り」の中で「入鬼神」として土地神「秋元太子大明神」を降臨させ、「諸塚・南川神楽」や「戸下神楽」では神楽の最終演目「注連口」に、「稲荷神」が、「二上神楽」では「二上様」が、同じく「野方野神楽」では「牛神様」などの土地神が降臨し舞い収めている。また、椎葉神楽の「嶽之枝尾神楽」では、「注連引鬼神」の中に「内鬼神」として出現する。
御神屋を誉めて神々の降臨を請う「御神屋誉め」に始まり、先導神・猿田彦による「彦舞」、結界画定と献餞の儀礼「太殿」、神々を招き降ろす「神降ろし」、地主神を敬って舞う「鎮守」と続く神事神楽の後に、「御幣」、「幣神添」、「大神」、「杉登り」といった格式の高い神楽の中で「入鬼神」として「土地神」が降臨する。
このように、地主神が神楽の最初に降臨し、「荒神」、「山の神(山森)」、「八鉢(道化神)」などが続いた後、最後に土地神が舞い収めるという神楽の様式は、日之影神楽や五ヶ瀬神楽を含めて、高千穂神楽や諸塚神楽など高千穂神楽全域の「高千穂神楽群」に共通する儀礼であり、このことから、これらの神楽は土地神の祭祀の上に国家祭祀としての記紀神話が重ねられたものであるということがわかる
<中学恩師・今林和佐子先生写真提供>
「幣神添」入鬼神 深角神楽
「幣神添」入鬼神 深角神楽
「御幣」入鬼神 松の内神楽
「幣神添」入鬼神 大菅神楽
「大神」入鬼神 平清水神楽
「幣神添」入鬼神 鹿川神楽
「天神様の舞」 大人神楽
「鬼神」 四ケ惣神楽
「杉登」入鬼神 桑野内神楽
参考資料:「神楽」−神あそびについて−(今林和佐子著 八幡孔版 2003)あ